2. 選定プロセスの基本的な考え方

本章では、特定の用途でドライブの構成要素を選定するプロセスを要約し、そのプロセスで個々の側面をどの章で詳細に論じているか参照先を示します。
下記の手法は、ステップバイステップ、そして、リニアな選定プロセスを示しています。しかし、順番に選定していくこの手法には限界があります。その理由は、システムを構成するコンポーネントのうち、後の方のプロセスで選定されるコンポーネントの特性が、前の方のプロセスに影響を与える場合があるからです。ステップ1のシステム全体像は、解決策を見出す上で、そのような解決策のない状態を避けるために必要な結果を提供します。

選定プロセスにおける各プロセスのブロック図
図2.1:選定プロセスにおける各プロセスのブロック図

ステップ1:ドライブの全体(3章)
最初のステップは状況分析にしたがって、その環境におけるドライブの全体を表すことです。その目的は、その状況の全体像を把握し、解決策の理論的な可能性を明確にし、境界条件との制約のイメージを理解することです。実行にあたり、各々の役割をリストアップすると次のようになります。
- 機械的な基本レイアウトを定義します:回転運動か、直線運動か。どのドライブ(スピンドル軸、歯付ベルト、ラックピニオン等)あるいは、どのドライブどうしの組み合わせを利用して、要求された動作を実現するか。ダイレクトドライブか。
- 制御法の構想を定義します。何を制御するか?電流か、スピードか、位置か?どの程度の精度か。制御変数は、どのように計測するか。
- オープン・ループ制御で十分か?コントローラは、どこでコマンドを受け、どこから設定値を受け取るか?これらの課題の答えは、一般に、利用可能なコントローラとフィードバック用センサ(ステップ7参照)を前もって選定する段階で得られる。
- 電源部を検証します:全ての動作条件で負荷をドライブするのに、また、予測されるドライブトレーン内損失を補填するのに十分な電力が得られるか、得られる最大電流、得られる最大電圧はどれだけか。
- 境界条件を定義します:大きさの制約はあるか?ドライブが動作を要求されるのは、どのような使用環境(温度、気圧等)か(12章参照)?特定のスペック、あるいは、品質基準の要求があるか?製品寿命に対する要求スペックは何か?今後の開発の見通しはどうか?
- コストは、常に重要な検討課題です。ドライブをできるだけ低コストで、かつ要求される機能、性能、製品寿命を満たすには、どう設計するかがテーマです。

ステップ2:要求される負荷(4章)
このステップでは、実行される動作を定義します:どのような動作特性か?動作時間はどう予測されるか。どのような加速性と慣性モーメントか?
力とトルクはどの程度か?多くの用途に対して、これらの値を誤差およそ±10%以内で定義するのに十分か?このステップでは、ドライブの許容できる機械的な遊びの最大値の課題に答えることが必要です。

ステップ3:機械的ドライブ設計
このステップの目的は、適正なパラメータで機械的なドライブを特定することです。多様なタイプのドライブと材料(例えば台形スピンドル軸、循環ボールベアリング、セラミックスピンドル軸など)を十分に検討する必要がありますし、パラメータの違いによる(例えばギア変速比)モータの回転数やトルクの異なる値を実現する可能性についての検討も必要です。適切なベアリングシステムによって摩擦ロスと出力の吸収を分析することも必要です。選択されたドライブ構想は、機械的な公差に影響を与えますが、それは規定の位置精度に適合していなければなりません。

ステップ4:ギアヘッド選定(6章)
このステップでは、規定の使用条件で使用できるようにマクソンギアヘッドを選定します。ギアヘッドの回転数とトルク限界に加え、ギアヘッドの潤滑剤の温度限界とベアリング負荷も十分に考慮する必要があります。バックラッシュはどこまで許容できるか?ギアヘッドは使用できるのか?ギアヘッドのタイプは他の境界条件にも適合すると考えられるのか?このステップの目的はマクソンギアヘッドが使用可能か、使用可能であるならばどのギアヘッドなのかを明らかにすることです。そして、モータ選定にあたり最も重要なデータはギアヘッドの減速比と効率から計算することができます。

ステップ5、6:モータ選定(7、8章)
次のステップでは、トルクと回転数の要求に基づいて、適したモータタイプを選定することです。製品寿命、整流、ベアリングシステムについて、さらに検討する必要があります。最適な巻線は、適用されるモータ電圧と回転数の比較、使用できる電流と要求トルクの比較に基づいて選定します。

ステップ7:コントローラとフィードバックセンサ選定(9章)
最後のステップでは、状況分析(ステップ1)に基づいてコントローラとフィードバックセンサを予備的に選定しましたが、それが、選定したモータに適合しているかと検証し、コントローラとフィードバックセンサを最終決定します。

ステップ3~7は、通常、何度も再検討されるものであり、定義されたドライブの役割に対し解決策は複数存在するのが一般的です。しかし、最適な解決策を直接、特定することはできません。なぜなら、他の多くのパラメータ、例えば、製品寿命、コスト、堅牢性、サイズに基づいて再定義が必要な場合がありえるからです。

ドライブの(例えばステップ1でドライブ全体についての記載があるような)最初の役割を明確に定義し、製品を完全に理解することによって、多くの選択肢を事前に検討することができ、検討機関の短縮につなげることができます。

マクソン選定プログラム(MSP10章)では、そのような複雑で時間のかかるルーチン作業の計算をボタン一つで実行することができます。この選定されたドライブのリストは、更に多様なフィルタを採用することによって最適な解決策を絞り込むことができます。

下記の留意事項は全て、マクソン製品のラインナップに基づいていますが、ドライブ構成部品の選定プロセスは、他のメーカ製のモータや製品についても適用することができます。


<<前へ 次へ>>

目次に戻る

▲このページのTOPへ

このページを印刷 このページを印刷

Copyright(c) 2012-2016 maxon Japan corp. All Rights Reserved.