3. ステップ1:状況分析と環境 (2)

3.4 電源の検討
電源は、ドライブシステムの一定のパラメータとしてシステムの基本構造を確立しており、ドライブの個々の構成部品はそれに適合しなければなりません。最も重要な境界条件は、望ましくない許容範囲内にあっても、ドライブの動作を実行し、損失を補填できるだけの十分な電源が用意できるかを検証することです。

入力電力
電源は、電流と電圧を出力します。機械的出力への変換は、選定プロセスで細かい影響を受け、変更されます。元の電源が高電圧で供給される場合、低い回転数定数のモータ巻線を選定するなど、後から調整することになります。

要求される機械的出力
ドライブが生み出さなければならない機械的出力として、トルク、回転数、力、速度が定義されます。これらの値は、先に決める必要があります。また、トルクと力を見積もる上で、摩擦の影響と、慣性の重力加速度を考慮する必要がありますが、通常は、機械的出力の影響の度合いを理解すれば十分です。見積もり精度は、一般に10~20%あれば十分です。ドライブの構成部品を選定するにあたっては、安全要因を含めることが必要です。もし、モータやギアヘッドが、より安全側で選定(つまり、出力が低すぎるよりは高すぎる側に対応)されていれば、リザーブパワーが既に確保されている可能性があります。

許容差と損失
許容差は、概算でも算出します。負荷トルクと力の安全要因、安全係数は10~20%を推奨します。電源の残留電圧リップルも考慮する必要があります。

モータ、ギアヘッド、ドライブトレイン内のロスも選定プロセスに含めますが、前もって負荷を加える必要はありません。モータ内の損失は、無負荷電流で算出でき、ギアヘッドとドライブ内の損失は、効率を使用して算出できます。

図3.2:ドライブシステムのインターフェース:情報フロー、電源フロー、環境要因と環境条件図3.2:ドライブシステムのインターフェース:情報フロー、電源フロー、環境要因と環境条件

3.5 境界条件と機械的インターフェース
境界条件や取り付け法が特殊な場合、設計に与える影響は大きく、その結果ドライブのコストも影響を受けます。

12章では、特殊な要求条件と動作条件に関する考え方とその推奨案を説明します。

動作寿命と環境条件
ドライブの動作寿命を正確に計算することは不可能です。それにもかかわらず、要求される動作寿命は、少なくとも目的として定義する必要があります。類似用途での経験値を参考にすることで、その解決法の質、そしてそのコストを適宜、選定することができます。

期待される動作寿命は、一般に動作時間または動作サイクル数で表します。

要求負荷と動作サイクルだけでなく、期待される使用温度範囲が、モータとギアヘッドの選定に大きな役割を果たします。使用温度範囲とドライブ構成部品内の温度は、放熱対策や潤滑剤(ギアヘッド、ベアリングなど)の選定に非常に大きな影響を与えます。特殊な気圧条件や様々な強度の真空環境も考慮する必要があります。例えば真空内では、対流による放熱は実質的になく、逆に湿気がないことでグラファイト整流システムに対する悪影響がなくなります。

同様に、特殊な環境で動作するドライブには、また特殊な解決法が求められます。これらの環境とは、例えば、不活性ガス、反応性の高いガス、酸素等の爆発性のガスや、油、水のような液体等です。

電磁誘導性
用途の多様化が進むにつれて、電磁誘導性に留意することが必要になってきました。特に、信号処理や電源の部品が小型化され、様々な場所で使用され、より近接した組み込みになったためです。EMI準拠製品(CE準拠製品)を利用する上では、残念ながら、それは、良い方向とは言えません。ユニット全体として最終的にEMIの影響を受けず、さらに電磁的な幅射も低レベルにしなければなりません。

全般的な調査を通じて、EMIの観点から重視すべき特殊な条件があるかを検証しなければなりません。そのような条件の一例は、非常に高感度の電子部品を備えるアセンブリロボットです。潜在的な電磁幅射によって発生する妨害を避けなければなりません。

モータの固定と電気的な接続
マイクロモータとギアヘッドは、通常、フランジで取り付けられます。取り付け側は、最終的に選定されたモータまたはギアヘッド(ボルト穴、ねじ部の寸法、取り付け用のガイド)のフランジのボルト穴に取り付けられる構造になっている必要があります。しかし、用途によっては、ユニットのハウジングをクランプなどで挟み、固定する方法などもあります。

次の課題は、シャフトの構成です。考慮しなければならないパラメータには、長さ、直径、Dカット等があります。歯付きベルト用のピニオンやプリ―などのドライブ構成要素の取り付けもシャフト寸法に影響を与えることがあります。モータの入力側の電気的接続のスペックも明確にしなければなりません。モータとセンサは、端子かリード線で接続されるのでしょうか?リード線はどの程度の長さが必要でしょうか?どのタイプのコネクタを使用する必要があるのでしょうか?

個々のスペック
特殊な必要条件は実際の製品特性や開発製造プロセスを考慮して設定される場合があります。製品の特殊な必要条件の例としては、モータ公差狭小化、中空シャフト、使用材料による用途固有の必要条件(耐オートクレープ性、耐放射線性)や生体適合性等があります。

特殊なプロセスとしては、例えば、最終製品の用途固有のテストや、品質システム上のより厳しい要求条件(トラッキング性、エラーレポーティング要求)等があります。

3.6 予測
設計者が、状況分析を完了した後にすべきなのは、将来に目を向け、将来、実現の可能性のある開発のアイディアを集めることです。そして、将来のアイディア全てを今すぐに活用するのではなく、将来を見越した開発が現在のドライブの設計に統合されるべきなのか、そして、そのためにはどのようなステップが必要なのかを見極めることです。最も重要な留意点とは、

― 制御構想の変更
― 境界条件の変更
― 要求が拡大した場合に備えたリザーブ電源
― 他のユニットから、または他のユニット内での互換性

等です。


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