実例:コンベアベルト

この例では、ドライブ設計プロセスにおける今後のステップでの状況分析と全体像を理解することの重要性を図示します。

タスクの記述
対象物は、分析機器に試薬を送るためのコンベアベルト・ドライブです。次のデータは、そのスペックです。

―   プリ―直径                        (d1=d2) 100mm
―       ベルト上の最大重量mL           3kg
―       支持上のベルトの摩擦係数         約0.3(プラスチックまたはスチール、表4.3参照)
―       摩擦力(無負荷)                   約4
―       コンベヤ速度                       0.5m/s
―       電源電圧                             24V
コンベアベルト・ドライブの模式図図3.3:コンベアベルト・ドライブの模式図


状況分析と新たな課題
ここで不足している情報は、連続トルクと最大トルク、すなわち、モータ、ギアヘッド、コントローラに必要な電源条件の決定につながるベルトの動作モードです。
制御構想は、要求スペックに基づいて、様々な可能性から選定することができます。定電圧での単純なオンオフ動作(リミットスイッチを介した制御)から、エンコーダとモーションコントローラを利用した位置制御まであります。

制御システムに関して、追加情報がなければ、必要なコントローラやセンサを決定することは不可能です。

解決しなければならない課題は下記のようにいくつかあります。

― ベルトは連続使用でしょうか、缶を搬送した後は停止するのでしょうか?

― 動作時間はどの程度の長さでしょうか?休止時間はどの程度の長さでしょうか?

― 加速はどの程度、早くできるのでしょうか、あるいは、早くできなければならないのでしょうか?

― 電流はどの程度、供給できるのでしょうか?

― ベルトの速度はどのように調節するのでしょうか?

― 位置の制御は必要なのでしょうか?要求される分解能はどの程度でしょうか?

― 制御の精度はどの程度必要でしょうか?オンオフスイッチによるスタートストップでしょうか?現在位置の制御でしょうか?

― 設定値は、アナログでしょうかデジタルでしょうか?

― 寸法の制約(長さ、直径)はあるのでしょうか?

要求出力の掲載
連続使用を想定すると、要求される搬送力は約50N

FL = 40N + μR mL g = 40N + 9N ≈ 50N.

コンベア速度より、連続出力は、

Pmech = νLFL = 0.5・50 = 25W.

ブリ―径が決まると、トルクと回転数は約2.5Nm、100rpmと見積もられ、ギアヘッドの使用が適切と判断されます。
モータとギアヘッドの組み合わせでの損失は50%と想定し、要求される電流は2A以上です。


これらの概略の見積もりに加え、トルクの余力、あるいは、異なる動作条件下での加速に必要な出力要件を評価しなければなりません。
簡単な計算で、0.5m/sの搬送速度で、1秒間にベルト上の3kgの缶を加速するために、約1.5Nの追加の力Faが算出されます。



この力は、摩擦力50Nに対し適切ではありません。ベルトとプリ―の未知の質量の慣性モーメントを考慮すると、この値は約5Nになります。短時間であれば、トルクの10%増加はどのドライブでも実現可能であり、何の問題も起きません。しかし、もし仮定していた1秒よりずっと短時間で加速する必要があった場合、状況は全て異なってきます。

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