4. ステップ2:負荷の動作(5)

4.3 動作特性と運動力学
基本的に、ドライブの動作は全て、時間軸上における加減速の連続と定加速での動作で表すことができます。このような連続を加速度プロファイルと呼びます。連続動作では、加速プロセスが一回、減速プロセスが一回あるだけであり、両者とも動作時間に比較すれば、非常に短時間であり無視できる量です。

図4.2 動作プロファイル(上部)と対応する動作ポイント(下部)の関係図
図4.2 動作プロファイル(上部)と対応する動作ポイント(下部)の関係図

1) 慣性モーメントと摩擦に打ち勝つ最大出力(トルク)での加速フェーズ。
2) 定摩擦力、定回転数での動作。
3) 負荷の減速時は摩擦が減速を助けるため、加速時よりも(量的に)要求出力は低い。
4) 停止(ここでは負荷を保持する出力の用途は除く)。加減速中、赤矢印の全ての点は、通過する動作ポイントを示す。台形の速度プロファイルは、定加速度、定速度、定減速度の3要素からなります。また、特性変数は、 ΔtaΔtb Δtcフェーズの持続時間、全持続時間Δttot 、最大速度vmaxおよび、速度カーブより下の領域に対応する移動距離Δsです。

図4.3:変数の識別を伴う一般的な台形動作プロファイル

図4.3:変数の識別を伴う一般的な台形動作プロファイル

用途によっては、この台形プロファイルの対称版も用いられます。距離、速度、加速度、および時間を要求される特定の値に応じて動力学的に演算する方法とともに、その最も基本的な方式を表4.2に図示します。

図4.3に図示される台形動作プロファイルは、加速から定速に急に移行するため、物理的な観点から実現は不可能です。加速は連続ではないため、無限大の動作(=加速の微分値である時間)が起きます。全ての点で動作を有限値で定義する場合、動力学的観点から、丸みを帯びた移行(例えば、いわゆる正弦波プロファイル)が望まれます。

急激な加速による動作の不安定さは、速度移行の詳細条件に依存します。コントローラはドライブ内の望ましくない変動をできるだけ抑制し、かつ制御時間を短くするために目標値の設定を行います。しかしながら、小型のドライブシステムでの重要な値の計算における動作の不安定さの影響は、最小限であり無視されます。


図4.4:台形速度プロファイル(赤/上部)の比較図 - 有限移行の有無
 
図4.4:台形速度プロファイル(赤/上部)の比較図 - 有限移行の有無
丸みを帯びた移行による加速プロファイル(青/下部)の場合、急峻な変化は見られません。


4.4 力、トルク

ドライブの大きさは基本的に要求される力とトルクによって決まります。力は、主に下記の2種類に大別されます。

-負荷モーメントを補填する力。これらの力は搬送力、および、摩擦の補填に要求される力、張力、適用される予圧力を含みます。
-機械要素の加速減のための力

現実には搬送力、摩擦力、負荷力を切り分けるのは多くの場合困難です。しかし最終的に重要なことは、総合力が正しく確実に考慮されることです。大部分の用途では、ドライブの構成要素を選定するにあたり、力を10%以内に設定し、想定外の状況に備えた十分なマージンを取れば十分です。

搬送力
搬送力は、ドライブの設計の目的となる具体的な動き、例えば、ドリルや切削機への圧力供給や推進力の発生を実行するために必要です。

常にかかっている力の影響
常にかかっている力とは、現在の動作とは独立して働き、バネによる予圧ののように常に同じ方向に加えられる力です。これらの力の最も一般的な実例は重力です。図4.2に図示された実例で、動作方向と反対方向の重力がさらに加わった場合を想定すると、大部分の力は増加し、負荷は静止時であっても保持されなければなりません。減速時に重力を助ける方向になった場合のみ、ブレーキ力が明らかに減少します。


図4.5:動作方向と反対方向の重力が加わった場合の図 4.2の動作ポイント
図4.5:動作方向と反対方向の重力が加わった場合の図 4.2の動作ポイント

摩擦力
ころがり摩擦とすべり摩擦からなる摩擦力は、一般にドライブが動作中だけ大きな影響を与えます。摩擦力は、常に動作方向と反対の方向に働き、速度に応じて変動します。摩擦力は、多くの要因(表面条件、潤滑剤条件、相対湿度など)の影響を受けます。摩擦力を計算するのが困難なことはよく知られており、摩擦力が与える影響度はラフに見積もりするのでさえ困難です。
概して、単純な測定法の方が有益な情報を得られ、摩擦力をより高い精度で定義することが可能になります。

 

図4.6:摩擦係数の定義
 
図4.6:摩擦係数の定義

ボールベアリングと焼結ベアリングの摩擦モーメント
通常の動作では、ボールベアリングと焼結スリーブベアリングの摩擦モーメントMRは、等価軸受負荷F、ボア径dおよび摩擦係数μR(表4.3)から容易に算出することができます。

加速力
加速力は物体の動作状態を変化させ、一般的な方程式に従います。

質量mL、速度差Δv、加速時間Δtが既知であれば、計算により高い精度で加速力を決定できます。
回転数の加速に要求されるトルクは、同様に下式で計算されます。


慣性モーメントJは、回転軸まわりの質量分布を表すパラメータであり理論的に決定できますが、その決定には若干の作業が必要になります(4.7章及び表4.4参照)。マクソン選定プログラムの慣性算出用ツールは、この目的を実現する上で、非常に有効です。


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