5. ステップ3 : ドライブの機構設計(1)

本章の説明は、機構的な変換を含まないドライブシステムの場合や、負荷を直接駆動する場合は、スキップすることができます。

ステップ3 ドライブの機構設計
図 5.1: 選定プロセスであるステップ3はドライブの機構設計に関係します

5.1 ドライブの機構に共通する特徴の全体像
ここでは、機械的出力から機械的出力へ変換するドライブを検討します。すなわち、モータの回転動作を直線動作に変換するリニアモーションドライブと、回転動作を回転動作に変換するロータリードライブです。リニアドライブのカテゴリには、リードネジ、コンベアベルト、クレーン、ラックピニオン等が含まれます。往復リニアモーションの特殊用途では、カムとクランクシャフトもこのカテゴリに含まれます。ロータリードライブには、全てのタイプのギアヘッドや歯付きベルト構造の方式が含まれます。
ドライブ機構は直列の接続することもでき、前段のドライブの出力は後段のドライブの入力になります。
ドライブの出力変換は数個のパラメータだけで表されます。

公式の用語
- 出力の負荷側の変数はout 表記で特定します。
- 入力側の変数はin 表記で特定します。

減速比
減速比 i は、入力角速度ωin(または入力回転数nin )と出力角速度ωout (または出力回転数nout )の間の比率を示します。したがって、リニアモーションドライブでは、減速比をωinnin )と出力速度vout の間の比率として定義することによって 一般化することができます。 入力速度の演算には、次の公式が適用されます。

入力速度の演算公式

回転動作変換の減速比は、回転速度間の比率(ディメンジョンなし)で表され、リニアドライブでは、m-1で表されます。

損失と効率
ドライブ内の摩擦損失は通常、効率 η で一般化して表します。ドライブの入力に要求されるトルクは、次式で要求出力トルク Mout から、または出力 Fout から計算します。

ドライブの入力に要求されるトルク

効率の定常値を想定するために、概略条件を一般化し設定します。その理由は、ほとんどの場合、効率は負荷の機能であるからです。代わりになるべきものとして、摩擦トルク MR を負荷とスピードの機能として入力側で示すことができます。その変換式は

変換式

図:5.2 ドライブの設計上重要な機構部品の全体像
図:5.2 ドライブの設計上重要な機構部品の全体像

慣性モーメント
加速の発生する用途では、ドライブの構成要素の質量と慣性モーメントも十分考慮する必要があります。慣性モーメントは、ドライブの入力軸 Jin に関して計算しなければなりません。したがって、入力軸によって直接ドライブされる要素J1 、出力側に位置する要素J2 、その他の可動部品、回転軸J*3 の入力軸に反映しなければならない慣性モーメントJ によって特徴づけられます。例えば、歯付ベルトの場合、モータ-駆動プーリJ1 、負荷プーリJ2 の慣性モーメント、歯付ベルト m3 の質量に対応します。

慣性モーメント

留意すべきことは、負荷側の慣性モーメントがドライブの減速比の二乗で減少するということです。したがって、ドライブ入力側の有効慣性モーメントはずっと小さく、ドライブにとって重負荷を加速することは容易です。

機械的な遊びと弾性応答
ドライブの機械的な遊びΔφoutは、通常入力を固定した際の出力の移動量で表されます。無負荷バックラッシュはドライブの構成要素間にどれだけの遊びが存在するのか、言い換えれば、最小の力またはトルクにより出力がどれだけ移動するのかを示します。回転方向が変化した場合、その出力に反応する前に、減速比で高められたΔφin を、最初にドライブが補う必要があります。出力の負荷が、ドライブ要素の弾性変形を増大させる場合、要素はこの遊びに追加しなければなりません。

Δφin = Δφout · i.

したがって、機械的な遊びはドライブの位置決め制御精度と制御品質に決定的な影響を与えます。ドライブ要素の公差を狭めることによって無負荷時の遊びを小さくすることができます。これには、高精度かつ、通常ずっとコストのかかる製造手法(例えば、低バックラッシュ型ギアヘッド)が必要になります。ゼロバックラッシュ型のドライブは弾性プリロードをドライブ要素に適用することによっても実現することができますが、一般的にその分高摩擦損失となります。
また、負荷時のドライブ要素の弾性変形を表す、弾性的遊びを十分考慮することが重要です。弾性的遊びはしばしば、剛性という用語でも表現されます。ヒステリシス効果は、弾性的遊びの観点から発生しうる追加要素を表し、これは使用する材料に依存します。カップリングはヒステリシスにより多かれ少なかれ弾性応答を示しますが、一般的には低いか、またはゼロバックラッシュです。


図 5.3: a) マクソンギアヘッドのバックラッシュの実例による機械的遊びの図 b)追加ヒステリシスを伴う純粋な弾性ねじり遊びの模式図

図 5.3:
a) マクソンギアヘッドのバックラッシュの実例による機械的遊びの図(マクソンカタログ参照)  負荷モーメントのない場合、個々のギアホイール間の遊びによって回転方向が逆転する時、回転角は急激に変化します。高負荷時は、ホイールは弾性変形し始めます。
b)追加ヒステリシスを伴う純粋な弾性ねじり遊びの模式図

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