5. ステップ3 : ドライブの機構設計(6)

5.6 ベルトドライブ、コンベアベルト、クレーン
コンベアベルトはドライブベルトに密接に関連します。5.4章の歯付ベルトドライブは回転動作の送信について説明していますが、コンベアベルトは、プーリ間のベルトの直線動作を利用します。コンベアベルト自体に加え、このカテゴリではさらに、スライドドアの開閉に用いるようなリニアベルトドライブとチェーンドライブを含みます。

ベルトドライブの変換式
コンベアベルトの特性値は、ドライブとディフレクタプーリ (d1, d2, d3, …)の直径、それらの慣性モーメント (J1, J2, J3 …)、ベルト質量m、直線挙動 ΔSout 、と総合効率 η です。ベルトとプーリの間の摩擦損失は効率に含まれなかった場合、搬送力に追加することが可能です。

計算式は

― 回転速度 (rpm) 回転速度 (rpm)
― トルク  トルク
― 定加速のための追加トルク (持続時間Δtα)
定加速のための追加トルク (持続時間Δtα)
― 入力軸での遊び (角度) 入力軸での遊び (角度)
図 5.9: ベルトドライブのパラメータ
 

 

図 5.9: ベルトドライブのパラメータ
出力(負荷、out)は青で表示。 入力(モータ、in) はグレーで表示。

 

 

効率と摩擦
ベルトが変形した結果、摩擦損失がプーリのベアリング部で発生します。 コンベアベルトの効率は一般に90%以上です。プーリとベルトの摩擦損失はさらに十分検討する必要があります。この摩擦損失は、追加負荷とみなすことができます。(3章のコンベアベルト実例を参照)

検証すべき追加パラメータ
特定用途では、次の点も検証しなければなりません。
― ベルトの最大負荷と、それに応じた幅の選定
― 最小プーリ直径(ベルト曲線部の最小半径)
― 最大回転速度
― 位置決め用途における部品の機械的遊びと弾性
― ベルト張力とベアリングへのラジアル荷重
― ドライブ構成要素の接地 (静電気の帯電)

クレーン
クレーンはベルトドライブの特殊なケースです。J1 J で、d1d で置き換え、不要な慣性モーメントをゼロに設定することによって、前記した変換式を適用し、検討します。
図 5.10: クレーンのパラメータ 
 

図 5.10: クレーンのパラメータ 
出力(負荷、out)は青で表示。 入力(モータ、in) はグレーで表示。

 

 

 

5.7 ラックピニオン
ラックピニオンドライブは、負荷ピニオンが無限大の直径を持つギアステージに相当します。モータピニオンのラジアル荷重とそのベアリングシステムに特に留意する必要があります。その理由は、搬送力と同じ大きさの反力が作用するからです。

ラックピニオンの変換式
ラックピニオンの特性変数は、歯のピッチp (p=π・歯のモジュール)、ピニオンの歯数z、直線挙動 ΔSout 、ラックの慣性モーメントm、そしてピニオンの慣性モーメントJ です。全体効率 η は、歯の効率 (一般的にシングルステージスパーギアユニットでは90%)、及びガイドブッシュでの摩擦損失で構成されます。

計算式は
― 回転速度 (rpm) 回転速度 (rpm)
― トルク トルク
 ― 定加速のための追加トルク (持続時間Δtα)

定加速のための追加トルク (持続時間Δtα) 
― 入力軸での遊び(角度) 入力軸での遊び(角度) 
 図 5.11: ラックピニオンのパラメータ
 

 

図 5.11: ラックピニオンのパラメータ  
出力(負荷、out)は青で表示。 入力(モータ、in) はグレーで表示。

 

検証すべき追加パラメータ
特定の用途では、さらに次の点を検証する必要があります。
― 最大搬送力とピニオンの最大ラジアル荷重
― 歯要因の最大許容トルク(メーカの提供するデータに留意する必要があります)
― 最大速度
― 位置決め用途におけるバックラッシュ
― 潤滑剤と温度範囲 
― ベアリングとラックのガイド

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