12. 特殊な要求条件(3)

12.5 滅菌可能なドライブ (オートクレーブ対応)
医療そして関連分野で、滅菌処理に様々な処理が利用されます。蒸気滅菌またはオートクレーブはほとんどの研究機関や病院で標準的なプロセスになっています。滅菌される部材は、100%水蒸気の雰囲気中に121°C、2 bar圧で20 分、または134°C、3 barで5 分、露出します。143°Cまでで3.3 barの特殊オートクレーブ周期もあります。
他の滅菌方法には下記があります。
― 400°Cまででの温風滅菌
― ホルムアルデヒド、エチレンオキサイド、オゾン、ヒドロジェンぺロキサイドによるガス滅菌
― 化学的な湿式無菌処理 (例えばヒドロジェンぺロキサイドまたは過酢酸)により微生物を殺菌
― ガス状ヒドロジェンぺロキサイドを使用する乾式無菌処理
― イオン放射による滅菌: UV光源、電子線源、X線源、ガンマ線源に露出
― 多様な方法で発生可能なアーク放電でプラズマ滅菌

困難な課題
主な課題は、浸食性の媒体やオートクレーブ内の環境条件(温度、気圧、水蒸気)によって発生する腐食と部品の破壊です。原理的にドライブ内の部品(モータ、ギア、センサ)はどれも影響を受けます。滅菌によって、ドライブ構成要素が不適格になり不具合が発生したり、製品サービス寿命が短くなったりします。
高温で誘発される腐食や損傷は通常、滅菌中に発生します。水蒸気やくぼみ部にたまった滅菌液によって、低進行性の腐食の可能性もあります。

滅菌周期の繰り返しによる代表的な効果
― ボールベアリングの腐食、摩擦増大および軸の不転
― マグネットの腐食: 酸化、塗装のはがれ
― 自己支持型巻線のエナメル塗装の劣化。巻線形状の変形、モータの不転
― 電気的絶縁の劣化; 結果として回路のショート発生
― 熔接部の酸化、ハンダづけ部の劣化; 結果として遮断が発生
― 導電性沈着物の形成 (例えばグラファイトダスト); 結果として回路のショート発生
― 電気部品の保護塗装の腐食と劣化
― 高温度による電気部品の破壊

推奨
ドライブの滅菌で、留意すべき主なルールは下記のとおりです。
― 被包または密閉によってドライブをユニットとして保護
― 滅菌処理条件に耐えられる部品と接合だけを利用
― ハウジングで保護される場合、全部品が同じように滅菌処理に露出されるのではない点に留意
― 非常に重要な部品やアセンブリは被包
― 表面に保護膜または、滅菌媒体耐性および非透過性のある保護コンフォーマル塗装処理
― 接着部とハンダ部は特に注意が必要
― 密閉接続。 異種金属間のスペースに水が入ると電解液化

下記は、滅菌可能なマクソンモータとギアヘッドを併用する対策例です。
― モータ・タイプ  DC モータよりもブラシレスEC モータ
― ベアリング 高クロムステンレス鋼、特殊潤滑剤、ギアヘッドベアリングもシール
― 軸 高クロムステンレス鋼
― マグネット コーティングされたNdFeBまたは腐食耐性の高いSmCoマグネット
― 巻線 特殊エナメル線材(コスト増、処理は複雑化)
― ケーブル絶縁体 PVCよりもテフロン
― プリント基板 特殊フォトレジスト・コーティング
― ギアヘッド 高クロムステンレス鋼部品、内部をシーリング

12.6 低ノイズドライブ

困難な課題
全てのドライブから発生する振動は、騒音ノイズとして現れます。発生したノイズが不快なものとして感じられるか否かは、単に音量(強度)によるだけでなく、ノイズの種類(ノッキング音, ひっかき音、金切り音等)や、ドライブを設置、使用する場所(工場の製造ライン上、または病院内)によって変わります。

ドライブ内の振動を誘発する代表的な発生源としては
― ブラシ整流: コミュテータ・セグメントとブラシの衝撃振動
― 特に潤滑剤フィルムが適正に形成されてなくベアリングが損傷している場合、ボールベアリングとスリーブベアリングの回転ノイズ
― ロータまたは負荷のバランス不良
― 整流中の磁場間の相互作用がモータの機械的振動を発生
― ギアホイール歯面の衝突と滑り

伝送されたり放射されたノイズと振動が増幅されるのは、
― 衝突する部品や相互作用を与える部品間の相対スピードが高い
― 固有周波数(共振)近くの振動
― 薄板構造 (振動膜効果)

推奨
ノイズの減少には3つの方法があります。
― 振動を回避、または減衰させる
― 構造的に発生するノイズや振動としての伝送を減衰させる
― 音響空間ノイズとしての放射を減少させる

ドライブのノイズを特に抑制する必要がある場合、ドライブと機器の機械的構造を設計する際に、次の点に留意が必要です。
― 適切な材料の選択と厚板の機械的構造により、共振を回避
― 膜効果や共振周波数を避けるため、網目や穴構造、類似構造によって大きな面を分割
― ドライブを機械的に安定な構造に取り付け、共振や膜効果を回避
― 設置時に減衰用部品を使用:ドライブと取り付け部品の間に、ゴムリング、ソフトプラスチック  ディスクまたは同様のデバイス
― 機械的挙動の減少(接触スピードの低下、振動の回避) 低バックラッシュ型またはプリロード部品のベアリング、ギアヘッド、リードネジを使用。さらに、スパーギアヘッドの代わりに歯付ベルトを使用
― 動作スピードを減少し、相互作用する部品の相対速度を減少

マクソン製品群においてノイズ軽減を考慮した場合、
― DC モータ: グラファイトブラシよりも貴金属ブラシ
― EC モータ: 矩形波整流よりも正弦波整流
― ギアヘッド: プラネタリギアヘッドよりもスパーギアヘッド
― ベアリング: 焼結スリーブベアリングまたはプリロードボールベアリング
― コントローラ: ソフトウェア制御パラメータ (PID設定)

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