事例その2:ヴイストン株式会社

ヴイストン株式会社(以下ヴイストン)はそのユニークな存在で業界でも常に注目されている浪花のロボット企業です。日清食品カップヌードル発売40周年記念の「カップヌードルロボタイマー」を考案、制作したのも同社です。見た目はカップヌードル、中身はロボットの「カップヌードルロボタイマー」、意表をついたルックスと機能の面白さに応募者が殺到しました。

そんなヴイストンの取締役で、ロボット開発分野では有名な、「カップヌードルロボタイマー」の仕掛け人でもある前田武志さんにお話をうかがいました。

ヴイストンの前田武志さんとOmniZero.9
ヴイストンの前田武志さんと
OmniZero.9
 

――― 前田さんはいつ頃からマクソンのモータをご使用いただいているのでしょうか。
「8年くらい前、仕事で、あるロボットを作ることになった際、モータは一番性能のいいものを持って来ようと思って、で、これ(マクソン)だろう、と採用しました」

――― それ以前にマクソンをお使いいただいたことは?
「名前は知っていたけれど、その時に使ったのが初めてでした。小ロットで買えて、しかも性能がいいものということで、マクソンが一番いいだろうと思って選ばせていただきました」

 

――― ありがとうございます。その時のロボットが『ロボビー』ですよね。
「そうです、最初の頃のモデルになります」

――― 今、マクソンのモータは御社製の高性能シリアルサーボモータ2種にも使っていただいていますが、これは最初からアクチュエータ単体として販売する予定があったんでしょうか。
「単体で売ることだけを目的にはしていなかったですね。ロボットを作るのが主な目的で、その中でできてきた部品を一部売ろうかな、というそのくらいの感覚でした。」

――― これはティクノ*を作る際に開発されたんですよね。
「はい、両方ともそうです。」
OmniZero.9に内臓されているマクソンモータ
OmniZero.9に内臓されている
マクソンモータ
 

――― 現在、ティクノは販売もされていますが、元々はどういう用途で制作されたんですか。
「あれは売るためのものではなくて、ヴイストンのキャラクターロボットとして作ったんです。ロボットの研究って、ハードウェアから全部作るという研究もあるんですけど、そうじゃなくてソフトの部分をやりたいっていう研究者さんはハードは買ってきたものをベースにしようというのがあって、そういうところで使われているので、今、売れている先は主に大学や研究所になりますね。」

――― 現在のヴイストンの主なビジネスとしては、教育用の教材も大きな柱になっているかと思うんですけど、それは大げさに言えば『ロボット開発の後継者作り』に力を入れているということでしょうか。
「教育はやはり大事な仕事だと思っています。
現状の日本の技術教育は、教える内容が時代の変化についてゆけてない気がしています。例えば携帯がスマートフォンに切り替わっていっているように、現実では色々なものがどんどん変わっているはずなんですけど、教育の現場では20年、30年前の教材をずっと使い続けている。その辺をアップデートしていかなきゃいけないんじゃないかな、と感じています。」

――― 今後、こんなロボットを作っていきたいという展望はありますか。
「ワクワクするような、楽しいロボットですね。
その一つとしてやっぱり大きいロボットはいつか作りたいとは思っています。でも、ものすごくお金がかかるんで、ちょっと何かの理由が、理由というかスポンサーでもいいんですけど、何かないと、単に作りたいから作りました、では済まない何かが要るんだろうな、と思っています。」

――― ロボットを作る時『こういうことをさせるロボットが作りたい』と何か要求が先にあって制作されているのでしょうか。
「そうですね、要求がある場合が多いですね。ひとつ、確実にあるのは、あるロボットを作ったら、それには満足いくことはまずないんですよ。もっとこうすればよかった、とか、ここはこうしたいなあ、とか。それで、それができたとなったら、更に、もうちょっと大きくしたい、とか、脚を早くしたい、とか、転んでも起き上れるようにしたいとか、次の要求が生まれるんですよ。それで次にそういうロボットを作る、というそういう流れですね。
モノを作っていく上で、目新しいもの、誰もやっていないようなことにチャレンジしてゆきたいということと、自分が楽しいと思える何か、見たこともない何かをやってみたいというのはいつも感じていますね。」

 

元々、子供の頃からモノづくりがお好きだったという前田さんは、大学時代に仲間と「ゲームのるつぼ有限会社」というゲームの開発会社を設立。画面(PC)の中でモノを作る時代を経て、大学時代の恩師である大阪大学の石黒先生*と現ヴイストン社長の大和さんと始められたのがヴイストンでした。設立時のヴイストンは全方位カメラという特殊なカメラを扱う会社でしたが、前田さんの「やっぱりロボットを作りたい」という気持ちから個人的にロボットを作り始め、「こういうものを作りたいんですけどやらせて下さい」と会社に持ち込んで、今のビジネスに繋がっているそうです。 

――― ヴイストンのビジネスとしては、秋葉原と福岡にあるショップ*にも力を入れていらっしゃいますよね。
東京・秋葉原のヴイストンショップ
東京・秋葉原のヴイストンショップ
 
「モノを売る仕事も一生懸命やっています。元々はうちの製品を売るチャネルだったんですけど、もうそんなうちの会社のものだけだとラインナップ足りないよ、という話になって、他社から仕入れてきた商品も置いています。この他社というのは、いわゆるライバル企業もありで、お客さんの選択肢を広げるのが一番いいのかなと思いまして。もし、両方並べて、他社製品ばっかり売れるんだったら、うちに問題があるということで、もうちょっといい製品を作らなきゃいけないって判るじゃないですか。他社製品を締め出してもいいことは何もないな、と言う判断で他社製品も含め、ロボットに関する様々な製品を置いています。ヴイストンの物販部門でネット通販とリアル店舗東京と福岡を展開しています。」 

――― このサイトは『マクソンアカデミー』というタイトルなので、今、学んでいる方々へのメッセージを、是非、お願いします。
「やっぱり、モノを作ることが大事だし、楽しいので、どんどん作りましょう。実際に手を動かしてモノを作ることは楽しいし、それで初めて判ることって結構あるんですよ。やる前はこうだろうな、簡単だろうなって思っていたことが実は難しかったりとかね。だから、どんどん楽しんでやりましょう。」

 

インタビューを終えて、独自のロボット製作から、教材やショップによる若手育成、サポートと、全方位カメラならぬ、全方位から広く暖かいまなざしでロボット分野の発展に貢献している企業という印象を受けました。

どうもありがとうございました。




ティクノ*:Vstone Tichno(ヴイストン ティクノ)は、大阪市・ロボットラボラトリーによる「ディスプレイ・キャラクターロボットの実用化プロジェクト」として製作された、大型二足歩行ロボット

大阪大学の石黒先生*:ロボット分野の中でもアンドロイド(人間酷似型ロボット)の研究の第一人者。
VictoryやVisual(画像=全方位センサーはビジュアルセンサーでもある)の「V」と石黒先生の石(stone)から社名のヴイストンはつけられた。 

秋葉原と福岡にあるショップ*:ロボットセンター東京秋葉原店、ロボットセンター福岡ロボスクエア店。
http://www.vstone.co.jp/shop/index.html

ヴイストンのホームページはこちら

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